「資産形成のためにアパート経営をはじめてみたいけれど、貯金がないからきっと無理だろう……」。そのように考えている方も多いのではないでしょうか。一部では、「アパート経営を行うには、最低でも、物件価格の3割を頭金として用意する必要がある」などとも言われており、それだけの資金を用意することがハードルとなっているのも事実です。
ただ実際には、自己資金をまったく用意することができなくても、アパート経営をはじめることは可能です。つまり、たとえ自己資金が0であったとしても、アパート経営はできるのです。物件価格の満額について金融機関から融資を受け、そのすべてを物件購入に活用する「フルローン」を活用すれば、自己資金は0でも問題ありません。
もっと言えば、物件価格以外に必要となる諸費用に関しても、金融機関からの融資によってまかなえる場合があります。いわゆる「オーバーローン」というものです。ただし、フルローンやオーバーローンにはリスクもあります。そこであらためて、アパート経営の仕組みとともに、フルローン・オーバーローンの危険性について確認しておきましょう。
アパート経営の仕組みをおさらい
そもそもアパート経営は、銀行をはじめとする金融機関から融資を受けて物件を購入するのが一般的です。各金融機関は、個人の審査(個人審査)と物件の審査(物件評価)を経て、融資の可否を決定します。とくに個人審査においては、融資を受ける人の年齢、年収、職業、勤務年数、家族構成などから属性を見極め、融資可能かどうかを判断します。
無事に融資を受けることができたら、実際に物件を購入し、あとは管理・運営をしていくだけです。管理・運営の過程で必要となるのは、入居者の獲得やサポート、物件管理(共用部の清掃や備品の整備など)などが主なものとなりますが、管理会社などに委託すればオーナーが自ら行う必要はありません。通常、外部委託するのが一般化しています。
オーバーローンの落とし穴
アパート経営の全体像を把握したうえで、なぜオーバーローンが危険なのかについて考えてみましょう。ポイントは、アパート経営の収益構造にあります。
・最も恐れるべきなのは“破産リスク”
アパート経営が金融機関からローンを受けて行うものである以上、入居者から得られる家賃収入から月々のローン返済額を捻出しなければなりません。もし家賃収入が途絶えてしまったら、自らその返済額を捻出する必要があります。その点、ローンの総額が大きくなりやすいフルローン・オーバーローンは、返済不可による破産リスクが高いと言えます。
・金利の支払いがかさんでしまう
より詳しく述べると、フルローン・オーバーローンは、金利の支払いが多くなりがちです。なぜなら、ローンの総額が大きくなるということは、それだけ返済期間も長くなるためです。返済期間が長くなればなるほど、必然的に金利の支払いも増えていきます。その結果、アパート経営のキャッシュフローを圧迫することになり兼ねません。
・金融機関への背信行為に該当するケースも
また、リスクという意味では、金融機関への背信行為という点にも注意しておいた方がいいでしょう。具体的には、金融機関に対して実際の物件価格よりも多めに申請し、フルローン・オーバーローンを組むケースがあるのです。そのような行為は、金融機関への背信行為となるため、法的なトラブルに発展する可能性もあるということを理解しておきましょう。
オーバーローンの危険性をあらかじめ認識しておこう
このように、フルローン・オーバーローンにはリスクがあります。まずは、金融機関が審査した物件価格よりも多く融資を受けるということの意味を知り、リスクを加味したうえで、利用するかどうかを判断するようにしましょう。あらかじめリスクを考慮に入れたうえで計画を立てておけば、自己資金0でも無理なくアパート経営をはじめることができます。
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